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障害児保育の財政支援および受入れ方策等に関する調査研究

本調査研究は、保育所における障害児の受入れについて地方交付税を用いた保育士の加配状況及び市区町村における障害児の受入れ方針を中心とした、障害児保育の実態把握を行い、好事例をまとめることで、保育現場での障害児保育のより一層の推進に資するまたは改善策を検討する基礎資料とすることを目的として実施した。 ※本調査研究は令和6年度子ども・子育て支援等推進調査研究事業で実施したものです。

背景・目的

本調査研究は、保育所における障害児の受入れについて地方交付税を用いた保育士の加配状況及び市区町村における障害児の受入れ方針を中心とした、障害児保育の実態把握を行い、好事例をまとめることで、保育現場での障害児保育のより一層の推進に資するまたは改善策を検討する基礎資料とすることを目的として実施した。

基礎調査

公表データ等から障害児保育に関する法律・政策及び財政面の支援について整理をした。障害児保育に関する主な法令・ガイドライン、障害児を受入れている保育施設種類・数、支援体制(保育士・資格・訓練、保護者支援等)、財政面の支援(地方交付税の状況、保育料の設定・補助の有無)を対象項目として調査を実施した。

アンケート調査

市区町村向けアンケート調査では、市区町村での財政支援の実施状況と障害児の受入れ方針の実態を把握し、障害児保育の進展にあたって求められる市区町村の保育所支援策、財政支援事業の在り方等の検討に活用した。

保育所等向けアンケート調査では、市区町村からの財政支援の受給状況と障害児の受入れ状況の実態を把握し、障害児保育の進展にあたって保育所側が必要と考える市区町村からの支援や解決すべき課題について検討に活用した。

回収結果は、市区町村向けアンケート調査は1,741団体へ配布し、回収数716施設(回収率41.1%)、保育所等向けアンケート調査は、22,887施設へ配布し、回収数6,906施設(回収率30.2%)であった。

ヒアリング調査

先進的な取組を実施している市区町村について、アンケート結果を踏まえて「財政支援の対象範囲を柔軟に設定している市区町村」、「財政支援の支給水準の高い市区町村」、「障害児の入所にあたっての制限を過去5年で撤廃した市区町村」に分類し、合計5市区町村に対してヒアリングを実施した。

保育所等との具体的な連携方法や予算確保に係る工夫等、各市区町村管内保育所における障害児受入れに係る財政支援事業の整備状況、障害児保育の受入れ方針とその背景、受入れに係る現状、今後取組を推進する上での課題や課題への対応策等について把握した。

把握した内容を踏まえて、他の市区町村が地域の実情に応じた財政支援事業を整備する際の参考となる事例集の作成を実施した。

まとめ・考察

保育所等向けアンケートでは、60.3%の保育所が「加配保育士数が十分でない」と回答している。

一方、市区町村向けアンケートにおいて、30.9%の市区町村が加配保育士に対する財政支援事業を実施していないことが示され、その理由として33.9%の市区町村が「管内保育所等において障害児のための保育士等の加配を必要としないため」と回答している。

市区町村において障害児保育への取組の一層の推進をするにあたり、これらの市区町村と保育所等との相違を埋めることが期待される。

アンケート調査、ヒアリング調査及び有識者の意見聴取を踏まえて、地域の実情に応じて障害児保育に係る制度を構築する際に大切と考えられる事項について、障害児保育の財政支援事業の前提となる基盤整備および財政支援事業の制度構築・運用における工夫の二つの観点で整理した。

今後、本調査研究報告書及び取組事例集を活用し、加配保育士に対する財政支援事業や障害児受入れに係る制限の見直し等の取組推進が期待される。

お問い合わせ先

有限責任監査法人トーマツ
リスクアドバイザリー事業本部  ヘルスケア 
財満 信子|シニアマネジャー
堤  康崇
山田 圭之介(看護師・保健師)
E-mail : dthc_surveyinfo@tohmatsu.co.jp
※上記の社名・役職は 2025/04時点のものとなります。