本記事は日本国内優遇措置検索サービス「Japan Incentive Insights」のコンテンツです。本記事は2025年1月23日時点の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。
2024年12月20日、自民・公明両党は令和7年度与党税制改正大綱を決定しました。本記事では、その掲載事項のうち、設備投資に係る優遇税制である「地域未来投資促進税制」、「中小企業経営強化税制」の改正のポイントについて解説します。
その他の制度も含め、主な改正事項については、デロイト トーマツ税理士法人のニュースレターをご確認ください。
地域未来投資促進税制の適用期限は令和7年(2025年)3月31日でしたが、今回の改正により令和10年(2028年)3月31日まで、3年間延長される見通しです。また、上乗せ措置を適用しない場合の機械装置・器具備品の特別償却率が40%から35%に引き下げられます。それ以外の改正点は、主に主務大臣の確認要件・上乗せ措置の要件に係るものです。
主務大臣の確認要件が見直され、設備投資金額の下限が引き上げられる等、より大規模な投資を後押しする制度になります。
また、これまで先進性の要件の一部であった労働生産性・投資収益率に係る定量要件が別の要件として独立し、先進性の要件は引き続き定性要件として残る見込みです。なお、サプライチェーン型は対象から除外されます。
一定の要件(以下のFかつ、GまたはH)を満たす場合、機械装置・器具備品に対し、特別償却率を50%に、税額控除率を5%に引き上げる上乗せ措置があります。
今回の改正により、労働生産性の伸び率4%の要件を適用する中小企業者の範囲に所要の措置が講じられる予定です。
また、要件Gにつき、その承認地域経済牽引事業が1億円以上の付加価値額を創出すると見込まれるものであることが追加されます。
上乗せ措置について、上記の要件とは別に「高成長投資枠」に対する新類型が追加されます。地方公共団体が設定する指定業種又は指定業種の事業者と直接の取引関係を有する一定の事業者については、一定の要件を満たす場合に上乗せ措置を適用することが可能になります。
今回の改正により、これまで以上に地域の特性や魅力を生かした地域社会の創出に向けた優遇制度になると考えられます。
同じく、中小企業経営強化税制の適用期限も令和7年(2025年)3月31日でしたが、今回の改正により令和9年(2027年)3月31日まで、2年間延長される見通しです。
建物及び建物附属設備以外に係る特別償却率・税額控除率は他類型と同じですが、建物及び建物附属設備に関しては、対前年度給与増加割合に応じて適用できる特別償却率・税額控除率が異なります。
地域未来投資促進税制はより地域の特性をいかした制度に、中小企業経営強化税制は売上高100億円を目指す企業を後押しする制度に改正される見込みです。いずれの制度も実際の制度の適用にあたっては、最新の情報をチェックし、今後公開される法案及び政省令を詳細に確認していく必要があります。適用の検討を進められる場合は、ぜひデロイト トーマツにご相談ください。
参考:令和7年度税制改正の大綱、措法42の11の2、42の12の4①②、措令27の11の2、27の12の4、地域未来投資促進法13・25、中小企業経営強化法施行規則16、令和6年経済産業省告示第130号、平成29年総務省、財務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省告示第1号