企業が抱えるガバナンスの課題は多角化やグローバル化によって、より複雑化しており、GRC(Governance、Risk、Compliance)を個別に捉えて対応するのではなく、一体化した俯瞰的かつ複合的な視点からの管理が必要です。SAP GRCツールを導入することにより、全社横断的なデータ管理による効果的かつ効率的なガバナンスを可能とします。
本記事ではSAP GRCツールの導入にあたり、内部統制評価や内部監査業務の自動化に関して検討する必要性のほか、デロイト トーマツのサービスについて解説いたします。
企業はグローバル化、多角化に加え年々厳しさを増す法規制や社会的要請など、複雑化したGRC※への対応が求められ、効率よく管理することが経営課題となっています。
※GRC=Governance、Risk、Compliance
複雑化したGRCに対応するためにはリスクのデータベース 化や自動化といったインフラを前提に、内部統制・内部監査業務の効率化と強化、予測、より適時対応できる内部監査といった仕組みづくりが必要です。
仕組みづくりを支えるソフトウェアとしてSAP GRCツールが、国内外問わず近年導入が進み始めています。
SAP GRCツールとは、GRC活動に関する一連の情報を格納・活用するデータベースであり、各GRCプロセスを支えるワークフローやグループウエアなどの機能を持つソフトウェアです。
GRCツールを導入することで、全社横断的なデータ管理を可能とし、効果的かつ効率的なガバナンスを実現できます。
SAP社が提供している「SAP ERPソリューション」の保守サービスが2025年※に終了します。
※2020年2月4日にSAP社は、保守サービス終了を2027年へと2年間延長することを発表しました。そのため、2027年問題へと移行する傾向となっています。
SAPを利用している多くの企業がITシステムの改修をもとめられますが、それに伴う「SAP GRCの導入」を契機に「SAP GRCツール」を導入することで、様々な業務の効率化・高度化を図ることができます。
図1 SAP GRCによる業務の効率化・高度化の例
SAP GRCツール(SAP Process Control)を導入することで、グループ間で標準化されたダッシュボードにて内部統制評価に必要な情報を一元管理することが出来ます。
例えば内部統制評価におけるグループ会社・各部門の連携はとても手間がかかりますが、SAP Process Controlを導入することで各部門担当者間の作業通知、情報収集作業の効率化が実現できます。
図2 SAP GRCツールを使用した内部統制/内部監査の自動化(1)
GRCツール(SAP Audit Management)を導入することで内部監査がシステム上に標準化され、情報がデータベース化されます。
例えば往査後の監査レポートの提出にはスピードが要求されますが、SAP Audit Managementの活用により、監査関連情報に監査チームメンバーが簡単にアクセス(レビュー・更新)することができます。
図3 SAP GRCツールを使用した内部統制/内部監査の自動化(2)
SAP GRCツールの導入と併せ、内部統制評価の自動化を検討することが必要です。例えば下記の内部統制評価業務フローについては、完全ないし一部自動化が可能です。
<完全自動化が可能な業務フローの例示>
<部分的自動化が可能な業務フローの例示>
SAP GRCツールの導入時において、RPA導入等も含めた内部監査業務の自動化も併せて検討することが必要です。例えば下記のような活動においてはGRCツールやRPAの導入が可能です。
<GRCツール導入可能な活動の例示>
<RPA導入可能な活動の例示>
SAP GRCツールを単純に導入するだけでは内部統制評価・内部監査のパフォーマンスを十分に改善することはできません。
デロイト トーマツでは、業務面とシステム面のノウハウをもった様々な専門性を有するメンバーが、クライアントごとに異なる目指すべきGRC像に向けて、SAP GRCツールの導入から継続的な運用のサポートまで提供いたします。