IASBは、IAS第1号「財務諸表の表示」を置き換える新基準IFRS第18号「財務諸表の表示及び開示」を公表した。新基準は、いわゆる基本財務諸表プロジェクトの成果であり、2027年1月1日以後開始する事業年度に発効する。
国際会計基準審議会(IASB)は、IAS第1号「財務諸表の表示」を置き換える新基準IFRS第18号「財務諸表の表示及び開示」を公表した。新基準は、いわゆる基本財務諸表プロジェクトの成果であり、企業が財務諸表においてどのようにコミュニケーションするかを改善することを目的としており、2027年1月1日以後開始する事業年度に発効する。
IASBは、企業の業績報告の比較可能性及び透明性に関する投資者の懸念に対応し、主要な財務諸表プロジェクトに着手し、2016年4月に本プロジェクトにおける議論を開始した。
2019年5月まで議論を続け、その間に範囲が徐々に具体化され、(i)財政状態計算書、キャッシュ・フロー計算書、持分変動計算書の抜本的な見直し、(ii)OCIの内容及びリサイクルのタイミングに関するガイダンス、(iii)セグメント報告、及び(iv)非継続事業の表示が、本プロジェクトの範囲から除外された。
IASBは、4つの主要な分野に焦点を当てることを決定した。
2019年12月17日、新基準案の公開草案[PDF](デロイトトーマツのWebサイト-※1)が公表された。その中で、IAS第1号「財務諸表の表示」の関連する要求事項は、限定的な文言の変更の上新基準に引き継がれることが提案された。
IAS第1号の他の要求事項は、IAS第8号及びIFRS第7号に移動することが提案された。IASBは、2020年12月及び2021年1月に公開草案に対するフィードバックを議論し、2021年3月から2023年6月にかけて提案を再審議した。IASBは、2024年4月9日に新しくIFRS第18号「財務諸表における表示及び開示」を公表した。
IFRS第18号は、IFRS会計基準に従って作成および表示するすべての財務諸表に適用される。
IAS第1号のこれまでの要求事項と比較した、新基準の主な変更点は次のとおりである。
・収益及び費用の項目は、純損益計算書において次の区分に分類することが要求される。
・営業
・投資
・財務
・法人所得税
・非継続事業
主要な事業活動として、顧客にファイナンスをするまたは資産に投資する企業は、区分が異なる場合がある。
・企業は、次の小計を表示することが要求される。
・営業利益または営業損失
・財務及び法人所得税前純損益
・純損益
これらの小計は、純損益計算書を区分に構造化するものであり、区分の見出し(category headings)を表示する要求はない。
・IFRS第18号に列挙されている科目は、企業の収益及び費用の有用な体系化された要約を提供する上で、純損益計算書がどれほど効果的であるかを低下させる場合を除き、表示することが要求される。
IAS第7号の的を絞った改善は、企業間の比較可能性の向上を目的としている。変更には次のものが含まれる。
IFRS第18号は、2027年1月1日以後開始する事業年度から発効する。本基準は、特定の経過措置と共に遡及的に適用され、早期適用が認められる。