※このページは、Monitor Deloitteの柴田 宗一郎ディレクターが執筆した、Global trade and the new geoeconomic reality | Deloitte Insights (英語)の和文要約です。
日本ではバブル崩壊で経済が揺るがされていた1990年。世界経済では東西冷戦が終焉を迎え、かつてないスピードで政治と経済の自由化が推し進められるグローバリゼーションの時代が幕を開けていた。その後約30年間、関税の引き下げ等の貿易障壁の撤廃により、国境を超えるマーケットとサプライチェーンが形成され、いつでも・どこでも・何でモノが手に入る生活が当たり前となった。しかし、太平洋を跨ぐ大国間の対立と競争が激化し、欧州では戦争という現実が蘇る中、世界経済は再び大きな岐路に立たされている。地政学動向がモノやサービスの流れを大きく変え始めており、企業は新たな戦い方の模索を強いられている。
足元の世界経済では、国家間の競争と対立の激化により、大きな構造変化が起きている。この構造変化には、大きく3つの要素が含まれている。
これらの構造変化は、国際貿易の前提にある国と国、及び国と企業の相互関係が大きく変わりつつあることを意味している。
国境を越えた物品とサービスの流れには、既に大きな変化が見え始めている。具体的には、3つの変化が起こっている。
これらの変化は、市場の競争環境に大きな影響を及ぼし、企業戦略の立て直しを強いる可能性を秘める。
保護主義の台頭や安全保障上の懸念に揺さぶられる世界経済と、出現する国際貿易の新たな潮流。経営者には、この新しい市場環境において成功を収めるための戦略立案やリスク管理が求められている。特に、以下3つの対策を戦略の意思決定と実行に取り入れることが重要となる。
地政学動向が世界経済に障壁をもたらす中、企業は新たな戦略の模索を続けることになる。しかし、市場の非効率性は新たな価値創造の機会を生み出すのも事実だ。世界経済の新しい現実の中では、リスクを管理するだけでなく、新たな機会を捉えることこそが、成功するビジネス戦略を構築する鍵を握っている。