日本は少子高齢化が急速に進行しており、75歳以上高齢者の約8割が何らかの慢性疾患に複数罹患しているため、定期的な通院が必要になります。一方、免許返納や公共交通機関の撤退等により、医療機関へのアクセスが大きな課題になりつつあります。さらには、人口減少地域を中心として、医療需要減少や物価高騰・賃上げ等による医療機関の経営悪化、働き手不足等により、医療提供体制の確保自体が困難になる地域が増えつつあります。
このような人口減少地域を中心とした交通アクセスと医療提供体制の確保に係る社会課題の解決策の1つとして、「ヘルスケア×モビリティ」をコンセプトとする医療MaaSが登場しました。
MaaSとは、Mobility as a Serviceの略で、明確な定義はありませんが、政府広報オンラインでは「情報通信技術(ICT)の発達を背景に生まれた次世代の移動サービス」、「地域住民や旅行者一人一人のトリップ単位での移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行うサービス」との説明がなされています。医療MaaSの事例も既に存在しており、患者の医療機関へのアクセスを支援する通院支援サービスや、D to P w N方式のオンライン診療を提供するための移動用診療車を指すものもあります。
デロイト トーマツ ヘルスケアでは、医療MaaSの展示会を2024年5月10日に東京国際フォーラムにて開催しました。
展示会プログラムとして、第1部セミナーでは、最新の「多機能タイプ医療MaaS」の開発に携わられている株式会社M-aidの木下CEO・医師から、医療MaaSの開発経緯と自治体での実証実験についてご講演いただき、第2部ではセミナー会場から地上広場に移動し、医療MaaS車両や搭載医療機器を使ったオンライン診療等についてデモンストレーションを行っていただきました。
半日間で自治体・医療機関関係者・ヘルスケア関連企業等、100名以上の方々がご来場されました。
(画像1:奥が「多機能タイプ医療MaaS」。手前は現在MaaS連動機能を開発中の医療用ドローン)
(画像2:ミニセミナーで講演される株式会社M-aidの木下CEO・医師)
(画像3:「多機能タイプ医療MaaS」にポータブルレントゲンを搭載した場合のデモンストレーションの様子1)
(画像4:「多機能タイプ医療MaaS」を使った車イス患者の診察プロセスのデモンストレーションの様子2)
(画像5:多数の医療関係者が車両の周囲に集まり、様々なシートアレンジによる模擬オンライン診療を体験した)
医療MaaSのニーズに関する来場者アンケート結果をご紹介します。自治体・医療機関からの参加者はオンライン診療と災害医療に関心が高く、企業からの参加者はオンライン診療に加えて、その他の用途(例:製薬企業の治験・臨床研究)に関心があるとの回答でした。
<医療MaaS展示会の動画>
展示した医療MaaS車両(MedaaS:Medical as a Service)と展示会の様子で動画を作成しました。
<医療MaaS関連のオンラインセミナー(録画)>
2024年5月31日に開催したオンラインセミナー「医療MaaSの最新動向と遠隔医療を活用した新しい地域医療提供体制のあり方」の録画を公開しました。
柚木 大介|ディレクター
古株 靖久|マネジャー
E-mail:dthc_surveyinfo@tohmatsu.co.jp
※上記の社名・役職・内容等は、掲載日時点のものとなります。2024/6