「こども未来戦略(加速化プラン)」に基づき、4・5歳児の職員配置基準について、30対1から25対1への改善を図り、それに対応する加算措置を設けると共に、職員配置における最低基準の改正が行われた。今後、保育の質向上のための取組を充実させるために「保育の質」の考え方やその具体的な捉え方を検討するため、議論に必要となる基礎資料を作成し、「保育の質」に関する検討事項等を整理することを目的として実施した。 ※本調査研究は令和6年度子ども・子育て支援調査研究事業で実施したものです。
「こども未来戦略(加速化プラン)」に基づき、4・5歳児の職員配置基準について、30対1から25対1への改善を図り、それに対応する加算措置を設けると共に、職員配置における最低基準の改正が行われた。今後、保育の質向上のための取組を充実させるために「保育の質」の考え方やその具体的な捉え方を検討するため、議論に必要となる基礎資料を作成し、それを基に「保育の質」に関しての検討事項等を整理することを目的として実施した。
先駆的な取組をする諸外国における保育の質を支える多元的な側面(国における制度、基本原則や考え方・目標、配置基準・職員資格の規定等)の在り方について把握した。対象国は6か国(イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデン、アメリカ、シンガポール)とした。調査項目は、保育所運営における制度、保育士の資格要件、保育所運営における保育士等の配置基準、保育所運営における保育士等の配置基準を調査した。
保育所等における各年齢の配置基準に関する具体的な実証研究の手法等について、多角的な検討に資する他分野の考え方等を参考とするために文献調査及び有識者ヒアリング調査を実施した。
ヒアリング調査は、保育の配置基準または保育所等に関する研究に取り組まれている各研究者、事業者などに現状の取り組み内容について情報収集した。3名の学識有識者、2社の民間企業にヒアリング調査を実施した。調査項目は、保育所等に関する研究概要、保育所等の職員の配置を検討する際の観点、配置基準の指標、指標の測定方法(実証方法、データ収集方法等)とした。
教育・介護・福祉分野の文献調査:教育分野は、学級編制と教職員定数に関する法令、改正の経緯を調査し、介護・福祉分野は介護事業所運営における制度、配置基準を調査した。なお、各分野において次の用語に基づき先行研究調査を行った。教育(クラスサイズ、配置基準、配置基準以外の人材配置・活用、労働環境、ICT活用を含む業務効率化、人材定着)。労働・福祉(ICT・ロボット等による業務の代替、介護助手の活用による業務の代替)。今後参考とする際の保育分野との違い(留意点)も整理した。
文献調査Aでは3歳未満は保育士等の手厚い配置をしつつ、3歳以上は早期教育の観点も含んだ保育サービスの提供がされている傾向が見え、職員配置基準を検討する上で大きな起点となる年齢区分であることが分かった。調査Bでは保育所等の職員の配置基準の検討に資する情報収集を実施し、他分野における職員配置の変遷や留意点等を整理することができた。今後、「保育政策の新たな方向性」に基づき、職員配置基準に関する科学的検証の手法を検討及びテクノロジーや幅広い人材の活用を含め、保育所等の在るべき体制についてエビデンスの収集を進めるために本調査研究の知見を活かしつつ、令和8年度に実証実験の実査に向け調査設計の策定が求められている。
有限責任監査法人トーマツ
リスクアドバイザリー事業本部 ヘルスケア
財満 信子|シニアマネジャー
山田 圭之介(看護師・保健師)
高橋 真代 (看護師・助産師・保健師)
E-mail : dthc_surveyinfo@tohmatsu.co.jp
※上記の社名・役職は 2025/04時点のものとなります。