日本を含め、世界各国でカーボンニュートラルに向けた動きが加速しているのは自明であり、特に再生可能エネルギーを中心とした領域ではビジネスベースで、すなわち収益に資する事業領域として各企業が取り組みを推進しています。また水素・アンモニアのように、将来の市場は未だ不確実ながらも、次世代エネルギーとして利活用が必須とされる領域においては、多くのプレイヤーが積極的に検討を行い、国内での支援制度も含め具体的に動き出した状況であると言えます。
その中で、CO2削減の最終手段といわれるCCUSに関しては、石油系企業を中心に各地での検討や実証が進められる一方で、国内の電力・ガス業界を中心とするユーティリティ企業にとっては、水素・アンモニア以上に将来のビジネスとしての不確実性が存在し、CO2排出削減のカウントルールやそれに伴う事業の見通しが定かでない中で、どのような向き合い方をすべきかの判断をしきれず、1つの事業領域として投資を含めて動き出しを加速することへの難しさが多くあると理解しています。
いくつかの産業において、事業構造上も化石燃料の使用が残らざるを得ない中で、将来必ずや求められるCCUSに対して、特にユーティリティ各社がビジネスとしてどう向き合うべきか、現時点でどのような判断をしていくべきか、その様な方向性を決めていく上での一助となるべく、計5回(予定)にわたって、ニュースレターを発信します。
第2回のニュースレターでは、削減量の観点から多くを占め大規模ビジネスにもつながり得るCCSに着目し、第1回の内容を踏まえつつ補助金制度につき一歩踏み込んだ解説を行う。さらにCCSの海外事例として、米国、ノルウェー、英国それぞれについて、補助制度の詳細を把握すると共に、各国のプロジェクトがどのようなビジネスの下で成立しているのか解説していく。今後のCCS事業において、補助制度の活用やクレジット制度との兼ね合いによりビジネスとしてどのような稼ぎ方につながり得るのか、その仕組みを紐解いていく。
目次
CCUSニュースレター初回である本稿においては、CCUSビジネスの話に入る前段として、CCS/CCUにおける概念の整理を改めて行ったうえで、カーボンニュートラル(CN)の潮流の中で、国際機関/主要各国/日本においてどのようにCCUSが取り扱われているか、その位置づけをまず俯瞰していきます。
グローバルでのCCUSの状況やCNの中でのポジションについて理解を深めることで、ニュースレター第2回目以降で考察していく、国内外の取り組み姿勢の相違や具体的なプロジェクト・ビジネスの事例の背景となるポイントを押さえていきます。