調査レポート

2050年カーボンニュートラル実現に向けた技術リスト第5弾公開

技術ソリューションのさらなる拡充とアカデミアレビューの実施

デロイト トーマツ グループでは、2050年カーボンニュートラル実現に向けた技術の調査を行い、技術リストとして定期的に公表している。第5弾では、掲載技術数を50件から63件に拡充し、各分野の研究者レビューを受け技術評価の精緻化と最新動向の反映を実施した。

デロイト トーマツ グループの科学技術イニシアチブDeloitte Tohmatsu Science and Technologyでは、カーボンニュートラルに貢献する技術をCO2排出削減量のポテンシャル及びCO2排出削減コスト、技術成熟度等の観点から整理して比較するリスト(以下、技術リストと記載)の作成を実施しており、本稿掲載の技術リストはそのプロトタイプの第5弾である。

第1~3弾では、調査手法の構築に始まり、掲載技術数を拡充しながら調査項目や分析事例を追加してきた。第4弾では、投資・開発の方向性を簡易評価することを目的として、ニュース記事データに対してテキストマイニング(情報抽出)アルゴリズムを適用し、各技術に関連する記事数を各技術の相対的な注目度合いとして算出した結果をまとめた。また、各技術を特徴づける検索語(クエリ)を設定し、テキストマイニングの手法により検索語と関連の高い記事を抽出し、日本・海外での各技術の注目度合いを可視化した。

第5弾にあたる本稿では、掲載技術数を63件まで拡充するとともに技術分野に関しても農業分野や再生可能エネルギーの熱利用、産業部門における電化技術を中心に拡張した。
加えて、本リストの客観性の向上を目的として、一部の技術については大学の研究者を中心とする外部の専門家からレビューを受け、技術評価における値の精緻化を実施した。また、研究事例における最新の動向・知見を、脱炭素に係るコストや技術成熟度(TRL)の進展としてリストへ反映した。

今後は有望な技術を順次加えて拡充し、データの精査と定期的な見直しを行うと共に、各技術の外部専門家レビューのさらなる拡大、及び統合モデル考慮による各技術の相互作用やダブルカウントの控除、各技術プレーヤーとの紐づけ等を行うことを予定している。本技術リストが日本のカーボンニュートラル実現に向けた技術の社会実装戦略の立案や、企業・自治体の取り組み内容の検討の一助となれば幸いである。

執筆者:齋藤 晃太郎、坂口 直樹、杉山 貴志、大南 絢一、浦田 亮啓、毛利 研、大場 久永、山本 昂、趙 浩、秋本 佳希、明石 康平、高田 翔平、友成 一暉、王 哲、関口 尚、作内 友哉、豊田 浩起

2050年カーボンニュートラル実現に向けた技術リスト第5弾 (PDF, 2.73MB)
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