tackling challenges net-zero transition

調査レポート

ネットゼロへの移行という難題に取り組む

排出量測定を通じて金融サービス業界の信頼性を高める方法

2050年までに温室効果ガス(GHG)排出量の実質ゼロ(ネットゼロ)を達成する取り組みを進めるうえで、金融機関は重要な役割を担っています。金融セクターは既にこの難題に取り組む意志を示し、世界経済をグリーンに変革するための支援を表明しています。

2050年まで、あるいはそれよりも早期に自社ポートフォリオの排出ネットゼロを達成すると宣言した金融機関の数は増え続けており、既に数社が、自社の金融に係る排出量(financed emissions)の測定に着手しました。しかしながら、金融に係る排出量を測定することは複雑な作業となるうえ、国際的な単一測定基準、データ収集のための共通データベース、企業が測定すべきデータを示すデータフレームワークが存在しないことにより、その進捗が妨げられています。

こうした試練はありますが、金融機関はまず、自社のサステナビリティデータの生成に着手するべきです。企業が一歩を踏み出すにあたり、最新のソリューションや開発途上の測定基準が利用可能です。データの収集、信頼性の検証、ギャップの特定は時間のかかる作業です。しかし、サステナビリティデータがなければ、金融機関は、ネットゼロ戦略における投融資の優先項目と整合性があり、かつ規制上の義務にも沿ったKPI(重要業績評価指標)を設定できません。

本レポートは、金融サービス業界におけるネットゼロ実現に向けた測定上の課題に焦点を当てます。

金融機関としてはまず、以下に挙げる5つの実務的なステップを踏んで、金融に係る排出量を測定するためのロバストなアプローチを構築することをお勧めします。

  • 自社のサステナビリティ目標に戦略とビジネスモデルを合致させる。
  • 金融に係る排出量の測定が、新たな責任領域であることを認識する。
  • 保有するポートフォリオにどのような種類の資産が存在するか、どういった事業活動が排出量算定の対象になるかを判断する。
  • データソースを決定し、概算値を用いてデータのギャップを埋める。
  • 最後に、既存の手法を指針として、自社の排出量を算定する。

詳しくは、クライメート(気候変動)&サステナビリティもしくは、Deloitte’s Climate Exchange(英語)をご覧ください。

デロイトは、2021年11月8日に開催された「IIF COP TALKS」のスポンサーを務めました。IIFのメンバーの方は、IIF Webサイト(英語)よりWeb castをご覧になれます。

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