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Deloitte Analytics R&D(研究開発)の取り組み 

AIに関連した先端技術の研究開発を行う

Deloitte Analytics R&Dチームはデジタルトランスフォーメーションの根幹となるAI/Analytics/データ活用に関連する新技術を研究するチームであり、アカデミアで発表される新手法の調査、独自のアルゴリズムの開発・サービスへの実装、クライアントへのサービス提供まで幅広く活動しています。R&Dチームで実用化された新技術は、デロイト トーマツ グループが提供するアドバイザリー・コンサルティングサービスや、会計監査のデジタルトランスフォーメーション活動であるAudit Innovationで活用されています。 

人とAIが協調する社会の実現を目指して

Deloitte Analyticsが掲げるAIの社会実装ビジョン「The Age of With」(人とAIが協調する社会)では、人とAIが協調して人々の生活やビジネスを円滑にしていく未来を目指しています。AIの性能を高め、AIが人と交代できる作業の範囲を拡大することも重要ですが、私たちはAIと人がコラボレーションする新しいあり方を提案することの方が社会やビジネスに与えるインパクトは大きいと考えています。R&Dチームは最先端のテクノロジーを追い求めるだけでなく、デロイト トーマツグループの様々な専門家と議論しながら人とテクノロジーがどのように協調していくべきかをデザインしていきます。

関連サイト:The Age of With

 

5つの研究領域

5つの研究領域

R&DチームはNLP(Natural Language Processing), Neurotechnology, Data Trust, AI Governance, Fundamentalの5つの領域を研究しています。NLPはAIが人の言語を理解することを可能にします。Neurotechnologyは人とAIの新しいコミュニケーション方法を提供します。Data TrustはAIが人の理解に利用できるデータを増やします。AI Governanceは人とAIが協調するための信頼関係を構築します。FundamentalはAIの基本性能を向上させてより高度な思考を可能にします。R&Dチームは、これらの5つの領域を相互に結合させることが、人とAIが協調する社会「The Age of With」の実現に必要であると考えています。

 

各研究領域については、以下のページで紹介しています。

NLP (Natural Language Processing) - 自然言語処理を活用する研究開発

文書の特性に合わせた自然言語処理モデルを開発するとともに、人とモデルとの連携を簡易に実施するための仕組みを開発し、非構造化データである文書データを構造化します。これにより、AIが人の生み出す多様な表現を理解することを可能にし、人とAIが協調する社会「The Age of With」の実現に貢献します。

Neurotechnology - ニューロテクノロジーによる研究開発

脳神経科学分野において発展した技術(ニューロテクノロジー)により人の行動や脳の活動をデータ化することで人間理解を深化させ、人と人、人とAIの新しい“コミュニケーション”の形を提供します。これにより、人とAIが協調する社会「The Age of With」の実現に貢献し、人と社会が直面する様々な課題を解決することを目指します。

Data Trust - 機密情報を明かさないデータ流通の研究開発

フェデレーテッド・ラーニング、秘密計算、匿名加工、ゼロ知識証明、ブロックチェーンなどの先進的技術を用い、機密情報を明かさずデータを活用する技術を実用化し、データ流通の安全性を確保します。組織の壁によって断片化された情報を整理・共有・知識化することで、AIがより多くの情報をもとにより個々人の状況に適した判断を行うことが可能にして、人とAIが協調する社会「The Age of With」の実現に貢献します。

AI Governance - 信頼できるAI実用化のための研究開発

AI Governanceは、「クライアントのAI利活用を阻害する課題を攻めと守りの両面で解決し続けること」を目的とし、AIや機械学習技術を業務で円滑に機能させるための手法と、AIシステムの障害、誤作動や誤った使用のリスクを最小限に低減するフレームワークを研究しています。AIを人の社会に溶け込ませるとともに、社会の中核に組み込まれるAIを人が信頼できるようにすることで、人とAIが協調する社会「The Age of With」の実現に貢献します。

Fundamental - 強化学習・機械学習アルゴリズムの研究開発

Fundamentalは、AIの適用範囲の拡大を目的として、強化学習や機械学習における変数選択・モデル選択のアルゴリズムなど、機械学習の核となる技術を開発しています。AIに普遍的に利用される基礎的な技術の性能を向上させることでAIの適用範囲を広げ、AIを人に近づけることで、人とAIが協調する社会「The Age of With」の実現に貢献します。

 

主要な研究開発実績

SICM(逐次的情報量規準最小化法)

R&Dチームが開発したSICMアルゴリズムは、確率モデルの自由度を自動的に決定する為のアルゴリズムであり、モデル評価指標の一つである情報量規準を連続的に最小化する手法です。SICMの自由度を自動的に決定しつつ可読な予測モデルを構築するという手法は、Explainable AI(説明可能、解釈可能な人工知能技術)に対する技術的なアプローチの一つであり、分析結果の適用に判断根拠が必要とされる様々な場面で用いることができます。

解説記事:SICM(逐次的情報量規準最小化法)の適用事例と特徴

STAND(統計的異常検知手法)

R&Dチームが開発した機械学習技術であるSTAND(STatistical ANomaly Detector)は、時系列間の関係性の変化をスコア化するアルゴリズムであり、主に異常検知を目的として使用されます。STANDは何らかのルール(例えば科学的・工学的なルール)に従うシステムにおけるルールの変化(関係性の崩れ)を検知する手法であり、機械システム、経済活動、人体等に対して適用できます。

解説記事:STAND(統計的異常検知手法)の適用事例と特徴

深層学習特許類似度マップ

深層学習モデル(self-attentive LSTMモデル)を利用した新規アプローチにより、大量の特許情報の分析を直感的かつ効率的に実施可能な手法です。本研究成果を活用することで、例えば企業の場合には、競合他社との差別化を図る事業戦略の策定や、自社の弱みを補完する買収・提携企業候補の選定のための技術的情報を効率的に創出することが可能となります。また、大学や研究機関の場合には、研究開発成果を事業化するためのパートナー企業の探索等にも活用することが可能です。 

解説記事:深層学習特許類似度マップの適用事例と特徴 

暗号資産取引分析プラットフォーム

ビッグデータ分析の知見とブロックチェーンの知見を融合し、暗号資産の取引データを取得・分析するためのシステム「暗号資産取引分析プラットフォーム」を開発しました。このシステムは企業が行った暗号資産取引の監査手続きに利用されています。

解説記事:暗号資産取引分析プラットフォーム開発事例

 

最近の活動・研究実績

<論文・会議発表>

  • Probing Sensorimotor Expertise in Professional Driving with an Immersive Racing Simulator
    Society for Neuroscience, 2023, Washington DC
    Yasutaka Honda, Katsuma Kitazoe*, Masashi Sawada*, Tetsuya Fujimoto**, Goro Tamura***, Makoto Fukushima
    *Sumitomo Bakelite Co., Ltd.
    **Tom’s Inc.
    *** Tokyo Univ. of Technology
    https://www.abstractsonline.com/pp8/#!/10892/presentation/41418 (外部サイト)
  • The Current Status of Secondary Use of Claims, Electronic Medical Records, and Electronic Health Records in Epidemiology in Japan: Narrative Literature Review
    JMIR Med Inform, DOI: 10.2196/39876, 2023年
    Yang Zhao and Tadashi Tsubota
    https://medinform.jmir.org/2023/1/e39876(外部サイト)
  • 教師なしアンサンブル学習による監査データの異常検知
    第37回人工知能学会全国大会論文集 2023年
    三浦 伊織、広瀬 俊亮、森 孝志、山根 青雲、柿田 寿晃https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjsai/JSAI2023/0/JSAI2023_2N1GS1001/_article/-char/ja/(外部サイト)
  • ガウス過程を用いた顧客別の販促チャネル嗜好性に基づく活動量最適化
    電子情報通信学会 ソサエティ大会 2023年
    渡邉大志, 中西研介, 木下渉
  • ドローン運用のための戦略立案および市場設計に資するシミュレーションモデルの開発
    第22回情報科学技術フォーラム (FIT) 2023年
    中西研介, 篠原滉, 松崎健* , 毛利研
    *デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

<特許>

  • プログラム、及び情報処理装置(特許7143545)
    出願日:2023年6月
    登録日:2023年9月
    発明者:広瀬俊亮,森孝志,三浦伊織,山根青雲
  • 学習装置、学習方法、学習プログラム、及び請求項マップ作成装置(特許7055848)
    出願日:2020年9月
    登録日:2022年4月
    発明者:坪田匡史,神津友武
  • 時系列分析装置,時系列分析方法及び時系列分析プログラム(特願2017‐219805号)
    出願日:2017年12月1日
    発明者:張諾,神津友武
  • 異常検出装置,異常検出方法及びネットワーク異常検出システム(特許 6193287)
    出願日:2015年3月30日
    登録日:2017年8月18日
    発明者:広瀬俊亮、神津友武

 

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