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事業・業務変革を下支えするdXプラットフォーム

最新テクノロジーをビジネスへ提供するdXプラットフォームとは

テクノロジー活用がビジネス変革に不可欠な要素となっている現在、最新テクノロジーをビジネスへ提供する新たな役割が必要であり、その役割を担うプラットフォームがビジネス価値創出の鍵となる。全社のIT/デジタル・インフラはその鍵であり、事業/業務変革を下支えするdXプラットフォームとなる。

CxOが把握するべきテクノロジートレンド

IT/デジタルにおけるインフラという言葉は、一般に個々のシステムの基礎部品となるサーバーやストレージやネットワークという技術要素を指す場合と、企業のIT/デジタル全体を下支えする全社のITの構造を指す場合の2通りがある。これは「家づくり」と「街づくり」の違いとして理解できる。個々のシステムのインフラについては個々の建物の基礎や材料のことに相当し、全社のITの構造については、都市全体の構造のことに相当する。当該記事においてIT/デジタル・インフラとは「全社のITの構造」を示すものとする。

事業・業務変革を下支えするdX プラットフォーム (PDF, 2.4MB)

図1:事業/業務変革を下支えするdXプラットフォーム

 

組織のCIO(Chief Information Officer)/CTO(Chief Technology Officer)/CDO(Chief Digital Officer)の役割を担う者は、個々の業務システムの詳細を深く理解する必要はないが、「全社のITの構造」については特徴や課題などを正確に把握しておくことが必要となる。

また、業務や事業が目指す姿を実現可能なテクノロジー領域を選ぶとともに、世の中で提供されるテクノロジーを把握しておき、どういうテクノロジーを使うとどのような事業変革や業務の高度化に資するのかということを先回りして抑えておくことが重要となる。

図2に、IT/デジタル・インフラ領域におけるテクノロジーの歴史の概略を示す。ここでは、歴史的にテクノロジーは垂直方向と水平方向に発展するのを繰り返してきていることを示している。


図2:IT/デジタル・テクノロジーの歴史

IT/デジタル・テクノロジーの歴史
  • 1960年代〜1980年代、ハードウェアからアプリケーションを実行する機械語まで全て独自仕様の「垂直統合」型のメインフレームにて、企業の業務プロセスの自動化等を実現してきた。しかしこれは、負荷の増大、ソフトウェアの巨大化など高コスト化を招き、企業活動の足かせとなる負の側面も現れ始めた。
  • 1990年代になると、メインフレームの高コストの課題を解決するためオープン系と呼ばれる技術が台頭し、技術レイヤーごとにデファクト化を目指し、「水平分散」化した。OSの種類としてはUnix系OS、Windows、Linuxが出てきただけでなく、Webサーバー製品、アプリケーションサーバー製品、DBMS製品、システム運用管理製品などのミドルウェア製品と呼ばれる製品が複数登場し、これらを組合せることで大幅なコスト削減を実現できるようになった。しかしこれも次第に、技術の組合せや運用が複雑化しユーザー企業で対応できなくなるという側面が問題となった。
  • 2010年前後から、スピード重視の時代となり、オープン系技術を集約し、1台に必要な機能をあらかじめ搭載してソフトとハードを一体化した「垂直統合」化が進んだ。例えば、Databaseソフトウェアと対象のストレージ装置を組合せ、チューニング、テストを実施済みの状態で導入できる統合DBプラットフォーム等が挙げられる。これらは、オープン系の製品を自分たちで組合せてシステムを構築することに比較してハードウェアの選定期間や導入にかかるリードタイムを短縮できるようになった。
  • また、2010年初〜中盤には、“アジリティ”という言葉で表される迅速性や柔軟な変更容易性を重視し、クラウドサービスと呼ばれるサービスが出現し、ITの所有から利用へと時代がシフトした。SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)と呼ばれる業務アプリケーションがサービスとして提供されるものや、IaaS(インフラストラクチャ・アズ・ア・サービス)や、PaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)と呼ばれる、個々のサーバーやストレージ、ミドルウェア機能がサービスとして提供されるものがそれぞれ出現し、「水平分散」化となった。
  • そして、2020年代になり、もともとIaaSやPaaSを強みとしていたハイパースケーラー(または、Big3のクラウドプラットフォーマー)と呼ばれるサービス提供者が、インフラやセキュリティー機能だけでなく様々な業界固有サービスをクラウドベースのソフトウェア(SaaS)として提供するようになってきており、サービスを垂直方向に拡大しているという大きな流れにある。

特にSaaSについて、当初は社内ワークフローのような、業界非依存でどの企業においても大きな違いがなく実現できる汎用的な業務機能を実現するだけにとどまっていたが、今は、業界や業種固有のプロセスやニーズを実現できる機能についてもSaaSとして提供される時代となってきており、これらの新しいSaaSは、インダストリークラウドと呼ばれる。

インダストリークラウド活用(SaaS活用)のトレンド

クラウド利用のアプローチとしては、どの業種業界においても共通のニーズを満たすことのできる業務アプリケーションの利用(SaaSの利用)、個々のシステム向けのITインフラ機能の利用(IaaS,PaaSの利用)に加えて、業界固有のビジネスプロセス実現のためのアプリケーションの利用(インダストリークラウドと呼ばれるSaaSの利用)を選択できるようになった。また、特にグローバルにおいては、各企業がクラウドプラットフォーマーに対して、業界やエコシステム全体で共有されるニーズに対応して「共通のコア」となる機能を構築しSaaSとして提供することを期待し、ユーザーとクラウドプラットフォーマーが共同してサービス開発をする動きも当たり前のものとなってきている。その結果、クラウドプラットフォーマーやソフトウエアベンダーが、業界固有のビジネスプロセスの大半の機能をモジュール化して提供するようになり、ユーザー企業はボタンを押すだけでそうした機能にアクセスできるようになっている。


図3:SaaS活用(インダストリークラウド活用)の方向性

SaaS活用(インダストリークラウド活用)の方向性

一方で、国内企業においては、自社のさまざまな業務プロセスをスクラッチと呼ばれるオーダーメードのITシステムで実現していることがまだまだ多い状況である。企業経営者としてはこのテクノロジーのトレンドをきちんと抑え、競争優位性をもたらさないコモディティー化したIT機能やビジネスプロセスについては、わざわざオーダーメードのITで実現するのではなく、SaaSとして提供されるありものを使い、複数のSaaSを組合せて自社業務を実現する方向へかじを切るときに来ていることを認識してほしい(図3参照)。

差別化領域へのフォーカス

先に述べたインダストリークラウドと呼ばれるSaaS活用範囲を増やしていくことで、いままで、自社で当該業務を実現するためにシステム開発に費やしていたリソースが浮くはずなので、そのリソースを組織の差別化領域へ振り向けることができるようになる。

組織には絶対にSaaSでは実現することのできない、他社との差別化となる領域があるはずであり、そこに注力することが市場で組織を差別化するための鍵となる。これらは、スクラッチやアドオンなどと呼ばれるような、“ゆずれない自家製のコード”で実現されるものとなる。

差別化領域へのフォーカスの機会を探るためには、次に示す手順を検討すべきである。これらの手順が進んでいないと手遅れになる可能性がある。


図4:差別化領域へのフォーカスの機会を探るアプローチ

差別化領域へのフォーカスの機会を探るアプローチ
  • ステップ1、ビジネス部門リーダーとIT部門リーダーは協力し、差別化領域を決定する必要がある。この取り組みを成功させるには、テクノロジーの理解をIT部門に丸投げせず、ビジネス部門がテクノロジーをより深く理解する必要がある。同様に、IT部門はビジネス戦略と、それを推進する上でテクノロジーが果たす重要な役割を理解する必要がある。そうして初めて、双方のチームは差別化領域を成功に導くための重要なテクノロジーを特定することができる。
  • ステップ2、自社の業務プロセスと、それを実現可能とするクラウドベースのサービス機能のインベントリー(一覧)を作成する。
  • ステップ3、作成したインベントリー(一覧)から、社内に維持すべき差別化につながるプロセスを特定し、それを支えるテクノロジーを特定する。同時に、クラウドによって実現される新しいテクノロジー製品からメリットを得られる可能性がある事業分野を特定する。ここで重要なことは、業務要件を先に決めて、それを実現可能な製品やサービスを行うという一方向の従来型プロセスを変えるということである。業務や事業が目指す姿を実現可能なテクノロジー領域を選ぶとともに、世の中で提供されるテクノロジーを把握しておき、どういうテクノロジーを使うとどのような事業変革や業務の高度化に資するのかということを先回りして抑えておくことが重要となる。
  • ステップ4、クラウドサービスプロバイダー、ソフトウエアベンダー、システムインテグレーター等と協力して、次の計画を策定する。ここで重要なことは、ユーザー側が要望を出して、サービスプロバイダー側がその要望に合うようにオーダーメードのITサービスを提供するということではなく、コアとなるビジネスを支えるため、コアとなるテクノロジーを一緒に具現化していくというアプローチが求められるということである。

企業の経営層は企業が市場のどこで競争優位性を発揮し、どの技術がその優位性を可能にするかを判断することが求められる。一方で、市場で差別化につながらないものはすべてコモディティー化しており、クラウドサービス提供者からSaaSとして提供されるサービスを利用するべきである。

dXプラットフォーム整備①全社IT/デジタル環境のクラウド化

SaaS活用をすすめる際、日本企業の現状のIT環境では大きな問題に直面する。これまで主流だった従来型のテクノロジーを用いた全社IT/デジタル・インフラ環境のままでは、先に示したインダストリークラウド活用は困難である。現在の国内企業の全社IT/デジタル・インフラ環境は、巨大なデータセンターがあり、さまざまな機器を配置し、社内ネットワーク境界でセキュリティー対策をする構成となっていることがほとんどである。この従来の仕組みを変えることなくインダストリークラウドを利用しようとした場合、増加するクラウドへのアクセスのキャパシティーを処理できないといったことや、セキュリティー対策がクラウドに対応できていないなどの理由から、十分に活用できない状況に陥る。

これを解決するためには、全社IT/デジタル・インフラ環境をクラウド化、すなわち、クラウド上で提供される複数の機能を組合せて、全社のIT/デジタルインフラ環境を実現するということが求められることになる(図5参照) 。


図5:全社IT/デジタル・インフラ環境のクラウド化

全社IT/デジタル・インフラ環境のクラウド化

インダストリークラウドを用いる目的は、組織の事業や業務プロセスの中で市場の差別化領域にならない領域にあり物を使いつつ、世の中のベストプラクティスを自社内に取り込み効率化や高度化を図ることである。自社内に世の中のベストプラクティスのプロセスを取りこむためには、逆の言い方をすると、差別化にならないプロセスをクラウドへ出していくということがここでの実現の目的となるのだ。

これを実現していくためには、全社のIT/デジタル・インフラ環境自体をクラウドに合わせていくことが必要で、ネットワークや認証、セキュリティーなどを含む全社IT/デジタル・インフラ環境を、クラウド上で提供される複数の機能を組合せて実現するものとなる。

ゼロトラストの考え方に基づくクラウドベースのITインフラセキュリティーアーキテクチャーへ転換することで、最先端テクノロジーを迅速に活用し、利便性とセキュリティー高度化を両立できるようになる。ただし、現在の資産となるオンプレミス上の様々なITを捨ててすべてをクラウドで作り直すということを意図していない。インダストリークラウドを使えるようにするための変革の取り組みであり、クラウドベースのITインフラと、従来のオンプレミス環境を融合した、ハイブリッドな全社IT/デジタル・インフラ環境を実現することとなる。 

この新しい全IT/デジタル・インフラ環境の実現にあたっては、クラウド上で提供される機能の「組合せ」が重要であり、このため、これまでのように個別機能ごとに設計開発を進めては実現することはできない。特に、クラウド上で提供されるIT/デジタル・インフラ環境にかかるテクノロジーは互いに関連しあっているため(図6参照) 、テクノロジーの関連する領域全体を俯瞰したアーキテクチャー(構成)の検討が不可欠であり、全体をデザインする目利き力が肝となる。 


図6:関連するテクノロジー要素を踏まえた検討

関連するテクノロジー要素を踏まえた検討

従来、日本企業が頼りにしているSIerや製品ベンダーは個別領域しか検討できず、個別最適になりがちのため、全体デザインする目利き力のあるアーキテクトを獲得し、社内にアーキテクト人材を育成していくことが何よりも重要となる。

dXプラットフォーム整備②差別化へフォーカスできる基盤の準備

先に述べたよう、インダストリークラウドを活用する真の目的は、リソースとエネルギーを競争優位性をもたらす差別化領域(コアビジネス領域)に集中し、トップライン向上に寄与することである。この差別化領域については、コモディティ化されたSaaSソリューションは提供されないことから、「自家製のコード」(スクラッチのプログラム)で実現していくことになると考えられる。もし、差別化領域がすべてパッケージ化されたSaaSで実現できるとしたら、それは競争優位性をもたらす領域ではなく、コアとしてフォーカスすべき領域ではないだろう。 

現在、日本企業によく見られることとして、トップライン向上に寄与する差別化領域よりも、業務の効率化やシステム化にかかるIT導入にリソースをさいてフルスクラッチで実現しようとすることがほとんどである。例えば、IaaS基盤としてクラウドを利用し、仮想サーバーを立ててJavaなどのプログラミング言語を用いた、Web三階層構造のアーキテクチャとしていることが多い。また開発効率を上げ、入力画面やテーブルを自動生成し、レコードの読み出しや登録処理をデプロイするために、どのようなローコード・ノーコードツールを用いるかという議論に熱を上げていくことが様々なところで見られるようになっている。 

しかし、これでは、クラウドでサービス提供される最新テクノロジーを如何に活用するかという議論が進まず、結果的にビジネス変化への対応やトップライン向上に寄与するコア領域の実現の議論とは程遠いと言わざるを得ない。 

差別化領域に集中しトップライン向上に寄与していくためには、グローバルのテクノロジーのベストプラクティスが組み込まれたハイパースケーラーのサービスを用いて、スピード感をもって新たなビジネスサービスを構築していくことが不可欠となる。このため、社内のIT部門・デジタル部門としては、事業部門の要望を踏まえてITシステムを構築するという今までの活動から脱却し、競争上の差別化領域にリソースを集中させられるよう、ハイパースケーラーのサービスを事業部門がいち早く利用できるようにするための環境を提供していくことが今後のミッションとなる。これを実現できるサービスは、テクノロジーのベストプラクティスが組み込まれた、PaaSやFaaSと呼ばれるクラウドネイティブなサービス(Function as a Service、サーバーレスでアプリケーション開発を行うことができるサービス)を用いることである。 このため、企業全体のアーキテクチャの準備としては、IaaS利用としてのクラウド活用と、PaaSやFaaSなどのクラウドネイティブサービスの利用と、双方を可能とする仕組みの整備が必要である。両方を両輪として、最終的なトップライン向上(ビジネス価値創出)を目指すこととなる(図7参照)。


図7:IaaS利用と、クラウドネイティブサービス利用、双方を利用可能とする仕組みの整備

図7:IaaS利用と、クラウドネイティブサービス利用、双方を利用可能とする仕組みの整備

国内企業のIT/デジタル部門の陥りがちな罠として、従来のテクノロジーの知見のみでクラウド活用を推進しようとし、オンプレミスにおける仮想化基盤をクラウド上で再現するIaaS基盤とよばれる社内ITインフラを構築してしまうことが多くあげられる。しかし、IaaSに特化した基盤としてしまうと、サーバレスアーキテクチャと呼ばれるテクノロジーを十分に活用できないどころか、新しいテクノロジーの活用の足かせとなってしまう。

「サーバー」の存在がなくなるサーバレスアーキテクチャは従来の管理手法では管理できないため、IT部門としては当該機能の利用を制限しようとする一方で、ビジネス部門は迅速かつ自由度く便利なサーバレスアーキテクチャのサービスを用いようとし、結果として、IT部門の管理しないところで野良クラウドが乱立してしまうリスクとなる。このようなことにならないよう、IT部門は、従来の管理手法で管理できるIaaS基盤だけでなく、サーバレスアーキテクチャ自体も管理可能な、あらたなクラウドコンピューティング基盤の整備が求められる(図8参照)。 

今の時代に必要なのは、個々のシステムで似たような関数を手組で開発するような、いわば車輪の再発明の部分までスクラッチで作ることを回避し、何を実現するかというコアのビジネスサービスの実現に集中していくことである。 この際、ビジネス部門の求める迅速性や自由度を阻害しないよう、システム開発担当者へある程度高い権限を割り当てることが必須となる。野良クラウドは回避しつつ、一定のセキュリティー品質を保ちつつを開発の推進を阻害しないレベルで権限を付与する新たな「自由度と統制を両立」する運営が求められる。 


図8:差別化領域の具現化に寄与するコンピューティング基盤の整備

図8:差別化領域の具現化に寄与するコンピューティング基盤の整備

まとめ

先に述べた全社ITインフラのクラウド化や、 IaaS基盤だけでなくサーバレスアーキテクチャ自体も管理可能なあらたなクラウドコンピューティング管理基盤は、一度構築したら終わりではなく、そのときどきの環境要因や要件に応じて、常に変化させ続けることが求められる。例えば全社ITインフラのクラウド化においては、リスクの見直しを定常的に行い、動的に連動させる機能の見直し(クラウド認証機能とクラウドネットワークセキュリティー機能に加えて、エンドポイントセキュリティーとの動的な連携も新たに検討するなど)を定常的に行うことが必要となる。また、ランディングゾーンについては、クラウドサービスでセキュリティー強化のための機能改善がなされた際に、自組織のシステム開発において当該機能の利用を必須とする制約を追加し、当該機能が自動的に組み込まれるように変更することが必要となる。

こういった変更が発生するごとに外部のITベンダーに頼みひとつひとつ要件定義をしているようでは、素早く新たな製品、サービス、ビジネスモデルを市場に展開し成長を遂げることはできなくなってしまう。このため、全社ITインフラのクラウド化や、ランディングゾーンを備えたクラウドコンピューティング基盤について、自組織内で手の内化できるようにしておくことが肝要である。

国内企業においては、インダストリークラウドとしてのSaaS活用推進や差別化領域へのクラウド活用どころではなく、一般的なクラウド活用そのものがほとんど進んでいないことが現状である。しかし、変化の激しい企業経営環境を前提に、テクノロジー活用がビジネス変革に不可欠な要素となっている現在、全社IT/デジタル・インフラ環境においても、いち早くクラウド活用の歩みを進める必要がある。

また、全社IT/デジタル・インフラ環境の検討範囲は多岐にわたる他、全体俯瞰の視点を持ち進むことが求められるため、このハードルを乗り越えながら進めるためには、すべての検討を自組織のリソースだけで行うことは現実的ではなく、コンサルタントなど外部リソースの活用も視野に入れて検討することも良いと考えられる。外部の支援サービスを用いつつ、それらを手の内化することを見据え、外部業者に丸投げするのではなく、伴走してもらう中でそのノウハウを自組織に貯めながら、推進していくことが重要である。インダストリークラウドを使い倒し、従来のIT化にかけていたリソースやエネルギーを、競争優位性をもたらす差別化領域へ集中させることができるよう、必要な取り組みを推進していただきたい。

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