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公営企業におけるシステム導入のポイント

公営企業の経営改革シリーズ(6)

公営企業におけるシステム導入について、現状のシステムにおいて想定される課題及び求められる「あるべき姿」を整理し、今後の公営企業経営に資するシステム構築を行うためのポイントや、第三者的立場から中立性・公平性を確保するための役割を解説します。

1.公営企業における各種システムについて

公営企業が営む各種業務には、現在、様々なシステムが利用されています。具体的には、日々の予算管理、決算管理等を行う財務会計システム、人事給与システムなどの内部事務系のシステム、また、各業務に特化したシステム、そして、外部公開系のホームページなどが存在します。

 

図表1:水道事業における各種システムマップ(例)

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2.現状想定される課題及びあるべき姿

公営企業においては、図表1に示されているような様々なシステムが導入されています。当該システムについて、システムベンダーのパッケージ化されたシステムを導入しているケースだけではなく、各団体の使いやすさなどそれぞれの仕様にそって、少なからずカスタマイズ化されているものと考えます。
また、導入時から相当程度、時が経過し、社会情勢の変化による業務ニーズにシステムが追従できず、結果として手作業ばかりになっている、或いは、その当時は必要であったシステムの機能が、現在では不十分な機能となっている場合や、当該機能を全く利用していないなど、システムの機能を十分に活用されていないといった、事案が生じていることが想定されます。
したがって、新たにシステム導入を検討される際には、本来あるべきシステムの姿を想定した導入が必要となります。

 

図表2:現状想定される課題及びあるべき姿

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3.システム導入にあたっての準備フェーズ

システム導入のフェーズは、大きく分けて「システム基本構想・調達フェーズ」、「システム導入フェーズ」という二つのフェーズに分けることができます。
「システム基本構想・調達フェーズ」は、「どのようなシステムが欲しいのか」を具体的に形にし、システムベンダーを選定するフェーズです。
このフェーズでは、現行業務・情報システムの状況を把握し、課題の解決方針を検討するとともに、情報システムの導入方針を明確にすることが必要です。また、「あるべき姿」を調達仕様書(案)にまとめ、システムベンダーへ意見招請を実施することになります。当該結果、費用対効果を検討の上、実現可能で自組織に適した調達仕様書とすることができます。
次に「システム導入フェーズ」は、システムの設計書の作成や、運用テストを行い、実際にシステムを現場に導入するフェーズです。
いずれのフェーズでも、システム導入を計画通り進めるために、またシステムベンダーに対して、十分な要求を伝えるために、業務所管課とシステムベンダーの間を取り持つ重要な工程といえます。
ここで、業務所管課とシステムベンダーの間を取り持つ第三者的立場の主な関わり方は、「システム基本構想・調達フェーズ」では、BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)、調達支援の役割として、「システム導入フェーズ」ではPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)の役割として関与することになります。

 

図表3:システム導入までの工程(例)

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4.トーマツのサービス

トーマツでは、公営企業における様々なサービスラインを有しており、公営企業会計(経営戦略、法適用業務等)の支援に加え、地方自治法による内部統制制度導入の支援、BCP(事業継続計画)策定支援等災害リスクへの対応、業務改善等による業務遂行上のリスクへの対応など幅広く支援しています。

公営企業におけるシステム導入は、専門性が非常に高く、また導入後の日常業務の有効性・効率性を大きく左右するものです。

当法人にはシステムコンサルタントが所属するIT部門も設置しており、システムコンサルタントと公営企業に精通した公認会計士が連携することで、公営企業特有のシステム導入サポートを行うことが可能であり、先のPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)の役割を担いながら、業務所管課の要望把握、システムベンターへ明確な伝達を行い、公営企業における中立性及び公平性を確保したシステム導入を支援します。

 

図表4:トーマツにおけるサービスイメージ

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