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「地方公営企業の経営改革の推進」セミナー開催報告

~『人財育成』×『データ活用』×『イノベーション創出』による経営力の向上~

開催日:2021年10月29日

有限責任監査法人トーマツは、2021年10月29日に「緊急特別セミナー第2弾 地方公営企業の経営改革の推進」をオンラインで開催いたしました。本ページでは、講演内容のポイントをご紹介いたします。

本セミナーでは、地方公営企業の経営改革の取組みのポイントについて、全国各地の公営企業に対する直近の支援実績を踏まえた解説や、経営判断に必要な分析・計画立案スキルを持つ「人財育成」、財務および財務以外の「データ活用」方法、経営力向上を目指した「イノベーションの創出」などを支援する、独自開発のデジタルソリューションを活用した経営改善の取組方策をご紹介いたしました。

また、セミナー第1弾で対談を実施した総務省自治財政局公営企業課長に加え、岩手中部水道企業団参与もお招きし、公営企業の法適化や広域化の動向、PDCAサイクル導入、データ利活用の事例等について、当法人の公認会計士との意見交換を行いました。

 

 

第1部 「デジタル化時代における地方公営企業の経営と人財育成」

有限責任監査法人トーマツ パートナー 小室 将雄

第1部では、今後の急激な人口減少と人口の低密度化、収益が伸びない中でのインフラ資産の大規模更新時期の到来といった経営環境の変化が見込まれる中、公営企業に求められている経営のあり方や人財育成について解説しました。ポイントは以下の通りです。

 

【ポイント】

① 公営企業が更なる経営改革を推進するには、経営・資産の状況の「見える化」が重要である。

② 「見える化」においては、現在と将来の財務情報に関する理解が重要である。

③ 環境の激しい変化に対応するために、デジタライゼーションは有用である。

④ 公営企業においても業務効率化やデジタル化の推進が求められている。

⑤ デジタル化推進のためにも、人財育成は重要である。

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第2部 「デジタルソリューションを活用した公営企業の経営のあり方への提言」

有限責任監査法人トーマツ マネジャー 佐久間 己晴

第2部では、「経営力の強化」や「デジタル社会への対応」の実現が求められている公営企業に対して、トーマツが支援を行う際の3つの取組方針(『人財育成』、『データ活用』、『イノベーション創出』)についてご紹介しました。ポイントは以下の通りです。

 

【ポイント】

① 公営企業を取り巻く経営環境、およびデジタル社会に対応するため、より専門性の高い人財育成が重要となっている。

② 人財育成サービスの提供により、人事異動が頻繁な公営企業職員の経営スキル強化を支援する。

③ データ活用によるDX化や自動化をサポートし、職員負荷を軽減し効果的な経営活動を支援する。

④ 外部組織とのつながり構築によりイノベーションを創出し、継続的に地域課題を解決していく体制づくりを支援する。

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第3部 「【特別鼎談】地方公営企業の未来に向けて」

総務省 自治財政局公営企業課 課長 坂越 健一様 
岩手中部水道企業団 参与 菊池 明敏 様
有限責任監査法人トーマツ パートナー 小室 将雄

第3部では、総務省自治財政局公営企業課課長の坂越健一様と岩手中部水道企業団参与の菊池明敏様をお招きし、公営企業の法適化や広域化の動向、PDCAサイクル導入、データ利活用の事例等について、有限責任監査法人トーマツの公認会計士の小室将雄との鼎談を実施いたしました。ポイントは以下の通りです。

 

【鼎談のポイント】

① 地方公共団体の「経営・財務マネジメント強化事業」による専門家派遣はもっと積極的に利用すべきである。

② 現在の経営環境を反映させた投資財政計画の改定が重要であり、その上で料金改定や広域化等の改革を盛り込むべきである。

③ 法適化について、骨太の方針にもある通り、その他の公営企業や卸売市場、観光施設、駐車場、介護などの各事業についてもできるだけ法適化するよう要請している。

④ コロナ禍の影響により今後に向けた検討が先送りされていた公立病院の経営強化について検討会が立ち上げられており、議論が重ねられている。

⑤ 広域化について、先日、全国の都道府県担当部長・企業局長を対象に、総務省審議官、課長と厚労省・国交省課長によるオンラインヒアリングが行われた。水道・下水道の広域化プランの策定期限が来年度までとなっている影響もあり、全国で精力的に検討・協議が行われている。

⑥ 法適化は経営改善のスタートであり、広域化やデジタル化は経営改善として有効な手段である。人口減少が続く将来を生き抜くための経営をしていく必要がある。

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最後に

本セミナーには、多くの地方公共団体の公営企業所管課、財政・行革・監査担当課の皆様にご参加いただき、活発なセミナー中の質疑応答や講演後のアンケートにおける前向きなご回答など、皆さまの関心の高さを窺うことができました。

最後になりましたが、公務ご多忙の中、ご登壇いただきました総務省自治財政局公営企業課課長の坂越健一様、岩手中部水道企業団参与の菊池明敏様に、この場をお借りして改めて御礼申し上げます。

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