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Crunch time XIX-決断の時19

現在の経理財務部門人材 

世界的なビジネスの変化に伴い、経理財務部門の人材は社会不安や変化に対処するために動き始めました。その中で、働き方の柔軟性、報酬、意義ある業務など、より多くを求めるようになった従業員が能力を発揮できる職場環境は、組織にとって必要不可欠です。どのような経理財務部門にしたいかを熟考し、行動に移すことで、未来にも対応できる真にダイナミックな経理財務部門を実現します。

未来の人材を形成するトレンドに機会を見出す

ここ数年、社会不安、地政学的変化、世界的なパンデミック全てを同時に直面し、世界が大きく変わることを目の当たりにしました。一方で、多くの経理財務部門の従業員は、職場に望んでいること・いないことを明確にしてきました。今こそ、組織がより多くのことを実現できるダイナミックな機能として財務機能を再考する機会です。テクノロジーソリューションの活用を通じて業務を再構築し、新たな成果や価値を達成すること。スキルや人材のオプション、職務の適切な組み合わせを見つけ、人材の制約をなくすこと、つまり、適切なスキルとチームで業務を遂行すること。業務や新しい働き方を創り出す過程に従業員を参加させること。文化を強化する職場に変え、コラボレーションや対面またはリモートの選択、インクルーシブで公平な職場環境のニーズに応える職場にすること。組織はこのような多くのことを、実現できるようになります。

当社の「Crunch Time」レポートは、経理財務部門のリーダーが人材のニーズと将来の要求に対応するために、業務、人材、職場をどのように進化させるかを詳しく調査したものです。

Crunch time XIX-決断の時19 現在の経理財務部門人材〔PDF, 1.38MB〕

これまでの学び

業務の高度化から個人的な課題等にまで及ぶ、パンデミックの影響に経理財務組織と従業員が対処するなかで、私たちは以下のことを学びました。

  • 経理財務部門の職場は、従業員がいる場所であるとは限りませんが、業務がある場所であるとは言い切れます。業務はチームが使用するシェアードデジタル環境とコラボレーションツールで行うことが可能です。とはいえ、リモートワークと対面での業務との適切なバランスを取ることが依然として最重要課題です。
  • 経理財務部門のリーダーは、完全出社から、無期限のリモートワークやハイブリッド型勤務まで、どのような形態を取るにしても、その施策は現実的で確りと設計されたものであるべきです。
  • フリーランス事業者やギグワーカーは、目新しいものから主流な働き方となり、確定申告期間、四半期や年度末決算などの繁忙期にオンデマンドで提供されるものとなりました。
  • 組織は必要な業務とスキルをマッチさせる取り組みを始めました。これにより、従業員は(意義と満足感はもちろんのこと)より多くの選択肢、機会、公平性を得ることができます。
  • 具体的に何を求めているか、経理財務部門のリーダーたちは問いかけてみる必要があります。一般的な人事エンゲージメント調査だけでは十分ではないかもしれません。

 

経理財務部門の従業員が望んでいることは何か

従業員は、自身の専門領域に専念し、職務において成果を上げることに全力を注いでいますが、それ以上に多くのものを望んでいるものです。これらはその一例です。

【柔軟性】

「リモートワークを希望しているが、少なくともハイブリッド型勤務を選べるようにして欲しい」

【報酬】

「今現在、給与が目当てであることが正直なところである」

【キャリアにおける成長と機会】

「標準化された業績評価プロセス、公式・非公式のコミュニケーションの機会、自分の業績を反復向上させるための定期的なフィードバックが欲しい」

【有意義な業務】

「顧客や自分のコミュニティに対して影響力を持ちたい。それを実感するには、自分が今実際にもたらしている影響が可視化されたら良いと思う」

【認識】

「上司には、自分の業務がどれほど難しく時間を必要とするものであるかをより理解し、認めてほしい」

「自分の業務が認められ、称賛されることで、よりモチベーションが高まる」

 

では、今何をすべきでしょうか

現時点での経理財務部門の人材を充足させるための解決策は、「再構築」という一語に集約されます。まずは一歩引いて考えてみましょう。そのうえで、人材、業務内容、業務を行う場所や、それらの現状課題とこれからを再考してみましょう。

  • 経理財務組織が最大限の価値を生み出すために、実際に「今」何をする必要があるか。
  • 従業員について何か把握していないことはないか。全ての従業員を一括りに見ていないか。
  • 経理財務部門の従業員は何を価値のある業務とみなすのか。自分たちの業務が組織やステークホルダーにとってどのような価値があるのかを理解しているか。その業務がなされなければならない「理由」を理解しているか。
  • 従業員同士や組織と繋がりを保ち、評価されていると感じるために、どのようなテクノロジーが必要か。

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