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Japanese Business Tax Europe ニュースアップデート 2008年11月・12月

2008年12月12日、日本の自由民主党は平成21年度税制改正大綱を発表しました。この大綱には日系多国籍企業にとって重要な改正が盛りこまれています。特に、現行の間接外国税額控除制度に代えて、海外子会社から日本へ支払われた配当に対する法人税の免除制度を導入することが提案されています。更に、大綱ではタックスヘイブン対策税制の改正が提案されています。

本ニュースレターでは、提案されている税制改正項目のうちいくつかの概要と欧州におけるストラクチャーへの影響を解説致します。また、今回は、予想される税制改正を前提として日系多国籍企業が検討しうる基本的なアイデアをいくつか紹介致しますが、各アイデアを適用するに当たっては、税務専門家のアドバイスを受けることをお勧め致します。

平成21年度税制改正

外国子会社配当益金不算入制度:  海外子会社からの配当のうち95%の課税が免除されることとなります。より具体的には、国外に所在する子会社から受け取った配当は、一定の持株割合・保有期間に関する要件を満たすことを条件に日本の法人税を免除されますが、配当の5%に当たる金額については損金不算入の経費として取り扱われます。ここで免税措置を受けるための要件は、内国法人が発行済株式総数の25%以上を、配当の支払義務が確定する以前6月以上引き続き直接に有していることです。 

外国税額控除制度: 配当に係る外国法人税に対する間接外国税額控除は一定の移行期間を設けた上で廃止されるとともに、直接外国税額控除も適用されません。

また、配当に係る外国法人税に対する外国税額控除は基本的に廃止されるものの、外国税額控除を適用するためにグループ階層を孫会社までとする制限がありましたが、そのような制限を行う必要がなくなります。従って、日系企業は、事業上の理由、特に、ジョイントベンチャーその他の合弁形態で求められるように、日系多国籍企業は全世界ベースでストラクチャーを展開したり、地域ごとのサブグループを構築する際に必要となる現地での連結納税制度の適用による税務メリットをとる、といったように、これまで考えられなかったようなグループ構成のフレキシビリティを得ることができるようになります。  

タックスヘイブン対策税制:  一定の要件を満たす場合、現行のタックスヘイブン対策税制においては、特定外国子会社等(タックスヘイブン子会社)を有する日本の株主は当該特定外国子会社等の所得のうち一定割合を自社の所得として申告する必要があります。 

  • 特定外国子会社等からの配当 
    現行法上、原則として特定外国子会社等から日本の株主に支払われていた配当は日本で課税される特定外国子会社等に係る所得の計算上控除できました。しかしながら、外国子会社配当損金不算入制度の導入にともない、こうした控除はもはや行えないこととなります。従って、問題となっている特定外国子会社等の所得については、その所得が配当として支払われるか否かに関わらず日本の株主のレベルで日本の法人が課されることとなります。
  • 孫会社(ないし更に低階層の子会社)からの配当
    特定外国子会社等が受け取った以下のような配当については、日本で合算対象とされる金額の計算上控除できます。
    • 特定外国子会社等がその子会社(特定外国子会社等が他の法人の発行済株式等25%以上の株式等を、配当等の支払い義務が確定する日以前6月以上引き続き有している場合の他の法人)から受ける配当等の額。この改正は低税率国に所在する地域持株会社にとっては有利な改正です。
    • (現行法と同様)他の特定外国子会社等から、既にタックスヘイブン対策税制の適用により日本において課税された所得を原資として支払われた配当。 

タックスヘイブン対策税制に関するこうした改正は特定外国子会社等の平成21年4月1日以降開始する事業年度に係る合算所得の計算上適用されます。

上記の改正は海外投資を行う日系多国籍企業グループに重要な影響を及ぼす可能性があります。以下の例は、こうした改正が日系多国籍企業グループの欧州における様々な組織形態にどのような影響を及ぼすかを示しています。

なお、改正税法はまだ発効していない点にご注意下さい。改正税法は2009年3月に発効し、より詳細な規定(施行令)は2009年5月頃に公表される予定です。
 

平成21年度税制改正の影響

一般的な考え方 

今回の税制改正は多くの場合において望ましい改正と考えられ、日系企業グループは全世界レベルでの実効税率を低減させることができます。大きな税制改正が行われると、それに伴い他の新たな問題が生じますが、その一方で法人実効税率を低減させるプランニング機会が生じることがあります。これは、例えば、支払配当に対する源泉税の免除、日本のタックスヘイブン対策税制の適用可能性がある国外所得の減少、日系企業の恒久的施設を現地法人へ組織替え等を通じて達成することができます。

配当源泉税の低減を通じた法人実効税率の低減
英国から日本へ支払われる配当に対しては源泉税は課されません。また、ベルギーから日本へ支払われる配当についても一般的に源泉税が課されません。一方、ドイツやオランダから支払われる配当に対しては源泉税が課されます(ドイツ:15%、オランダ:5%)。様々なストラクチャリングのアイデアを通じて源泉税負担を低減させ、それによって実効税率を低減させることが可能です。

ドイツ
現行法上、ドイツ法人が日本へ配当を行う場合、日本法人は配当に係る法人所得税(約30%)および源泉税(通常、配当金額の15%)について、日本の外国税額控除制度において定められている控除限度額の範囲内で税額控除を行うことができます。

改正案においては、ドイツを源泉として日本で配当を受け取った場合、その配当の原資である所得に係る実効税率は約42%となります(受取配当に係るドイツにおける法人所得税、源泉税、および日本の法人税を含む)。 

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ここで、以下のような様々なストラクチャーアイデアによって実効税率を低減させることが可能です。 

(i) 他の欧州法人の傘下へドイツ法人を移転させる

例えば、ドイツ法人を株式交換によって同じ日系多国籍企業グループの欧州子会社の傘下へ移転させると、いくつかの要件を満たす前提ではあるものの、ドイツの所得に対する実効税率を31%まで低減させることが可能です。

実効税率の低減は基本的に支払配当に対する源泉税を低減させることで達成されます。ドイツにおいては、一定の要件を満たす場合、欧州連合内での配当支払に対する源泉税を低減させることができます。ただし、配当を受け取るEU域内法人はドイツ税法上のいわゆるアンチトリーティーショッピングルール(JBTEニュースレター 3-4/2007参照)の要件を満たす必要があります。仮に、EU域内法人が同ルールに規定する事業実体要件を満たすとともに、日本への配当支払に対して源泉税を課さない国(例えば、英国やベルギー)に所在する場合、ドイツから最終的に日本へ還流された資金については源泉税が一切課されないこととなります。

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注: ドイツ法人の移転に関して、日本の税法上の配慮が必要である点に注意が必要です。例えば、上記において適切なストラクチャリングが行われない場合には、日本においてドイツ法人株式の譲渡益が課税される可能性があります。また、譲渡に伴って税務上の繰越欠損金や繰越控除利子の利用が不可能となります。更に、ドイツにおける不動産移転税に類する資産移転に係る税金が課されることも考えられます。従って、こうした再編を行う場合には、予め専門家のアドバイスを受けることが肝要です。

(ii) ドイツパートナーシップ傘下へドイツ法人を移転させる

例えば、ドイツ法人を事業会社ないし実質的に持株統括会社として機能するドイツパートナーシップへ移転させると、いくつかの要件を満たす前提ではあるものの、ドイツの所得に対する実効税率を31%まで低減させることが可能です。

実効税率の低減は基本的に支払配当に対する源泉税を低減させることで達成されます。ドイツ法人からドイツパートナーシップへ支払われる国内配当については源泉税が課されるものの、こうした源泉税について一般的にドイツパートナーシップにおいて税額控除を適用することができます。ドイツパートナーシップから日本へ所得を還流させた場合、一般的に源泉税は課されません。

ただし、日本の税務上の取り扱いを検討するため、ドイツパートナーシップの特性に関して詳細に検討する必要があります。ドイツパートナーシップは日本の税法上、法人として認識される場合と、課税上透明(パススルー)と取り扱われる場合が考えられます。ドイツパートナーシップが法人として取り扱われる場合、ドイツパートナーシップから日本へ還流される所得が95%免税を受けることができる配当として取り扱われる可能性があります。パススルーとして取り扱われる場合には、ドイツにおける恒久的施設として取り扱われ、それに帰属する所得が日本で課税されるものの、ドイツ法人からドイツパートナーシップへ支払われる配当については、依然として95%免税措置の対象となる可能性があります。いずれの場合でも、再編前よりも実効税率が低減されます。

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注: ドイツ法人の移転に関して、日本の税法上の配慮が必要である点に注意が必要です。例えば、上記において適切なストラクチャリングが行われない場合には、日本においてドイツ法人株式の譲渡益が課税される可能性があります。また、譲渡に伴って税務上の繰越欠損金や繰越控除利子の利用が不可能となります。また、ドイツにおける不動産移転税に類する資産移転に係る税金が課されることも考えられます。従って、こうした再編を行う場合には、予め専門家のアドバイスを受けることが肝要です。

オランダ 

オランダ税法上、オランダ法人が日本の親会社に配当する場合、5%の源泉徴収が必要となります(日蘭租税条約の要件を満たす場合)。日本において配当が95%免税になる前提において、グループ全体の税負担の観点から見た場合、この5%の源泉税は日系企業にとって直ちにコストとなります。このオランダ源泉税負担をなくすため、日本企業はこのオランダ法人を日本への配当に対して源泉税が発生しないEU域内法人の子会社に移動させることが考えられます(この件に関しましては、既にドイツのパートに記載されています)。また、この方法に代えてCo-opを利用することが考えられます。オランダ法上、Co-opはBVと類似した法的主体であり、投資者は株主ではなく組合員となります(ただし、少なくとも2名の組合員が必要です)。外国子会社の中間持株会社として日本親会社の下にCo-opを設立した場合、Co-opから日本親会社に対する配当に対して、オランダにおいて配当源泉税は課されません。なお、剰余金を有している既存のオランダ持株会社をCo‐opに変換する場合には濫用防止規定に注意する必要がありますが、新たにCo-opを中間持株会社として設立する場合に有効となります。

Co‐opの資本関係図例は以下の通りとなります。

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上述のような資本関係にすることにより、オランダの5%配当源泉税を排除することが可能となります。

恒久的施設(支店)の組織変更による実効税率の低減

次の実効税率低減アイデアは、利益を計上している日系企業の恒久的施設(支店)に関するものです。恒久的施設(支店)の課税所得は、現地国において課税され、かつ、本店所在地国である日本の課税所得に含まれ、現地国で支払った法人税について外国税額控除を適用することとなります。日本において外国子会社配当益金不算入制度が導入された場合、現地子会社からの配当が日本において95%免税となることから、恒久的施設(支店)を現地子会社に組織変更することにより、グループ実効税率を低減することが可能となります。

このアイデアは多くの国で有効といえますが、確実にどの程度の実効税率の低減が可能であるかは、現地で適用されている法人税率、及び、子会社の所在地国と日本との間で適用される配当源泉税率(もしあれば)に大きく起因することになります。

なお、組織変更時に、日本において課税の繰延となる必要条件を満たすかどうかなど、日本における課税関係を検討する必要があります。

このアイデアについて、日系企業のオランダ恒久的施設(支店)を例に説明します。オランダ支店をオランダ法人(BV等)に組織変更した場合、状況により異なりますが、実効税率を約36% から約31%まで下げることが可能です。更に、オランダ支店をBVではなく、Co-opに組織変更した場合、オランダ源泉税が免税となることから、実効税率は約27%にまで下がることになります。

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日本のタックスヘイブン対策税制に対応するためのプランニングアイデア


英国での設例において、日本のタックスヘイブン対策税制に対応するためのプランニングアイデアを説明します。英国の法人税の実効税率は28%であり、日本への配当に源泉税は課されません。したがって、改正が予定されている外国子会社配当益金不算入制度導入後、英国に子会社を有する日系企業のグループ全体での実効税率は、日本への配当を前提とした場合、英国で生じる所得に関する全世界ベースの実効税率は約40%から約29%(英国の法人税および配当に課される日本の法人税の合計)に減少することとなります。

以上の日本の税制改正に加えて、英国政府が公表した英国企業に対する英国外から得る所得への課税に関する主要な税制改正も、ほぼ同時期に予定されています。

この英国の税制改正で日系企業グループに対してもっとも影響の大きい改正点として、日本の外国子会社配当益金不算入制度に類似した英国の国外配当免税が挙げられます。英国の国外配当免税は、大規模および中規模グループにのみ適用されますが、積極的に海外展開を行っている日系企業グループについては、ほぼすべての企業グループに適用されることが想定されています。しかしながら、日本の改正案と異なり、最低株式保有割合要件または最低株式保有期間要件を要求していないため、ほとんどの英国国外からの配当は免税扱いとなりますが、一定の例外規定および様々な租税回避行為防止規定が設けられています。一定の例外規定には、たとえば、銀行またはその他金融機関がトレーディング勘定にて有する受取配当が挙げられます。

英国内に持株会社を有する日系企業グループにとっては、これらの日本および英国の税制改正は、双方が導入されることを前提として、日本国外事業から生じる利益について、税務上効率的な日本への資金還流を可能とすることが期待されます。なぜならば、英国から日本への配当に対して源泉税が課されないことに加えて、EUまたはEEA(欧州経済地域)に所在する事業会社から英国への配当には、EU親子会社指令により、一定の条件を満たすことを前提にして源泉税が課されません。さらに、英国の広範な租税条約ネットワークによってEUまたはEEA以外の各国からの英国外配当に関する源泉税を軽減させることが可能です。

ただし、英国持株会社の一定の所得が、日本のタックスヘイブン対策税制により日本にて課税される可能性も考えられることから、潜在的な税務上の影響について考慮するために、現状のストラクチャーのレビューが必要です。

考えられる論点としては、英国外からの配当が英国において免税となる結果として、英国持株会社の実効税率が25%以下に低下する可能性があります。この25%は日本のタックスヘイブン対策税制の適用対象となるか否かの目安です。日本のタックスヘイブン対策税制の改正により、英国において国外配当免税とされた配当は、多くの場合、タックスヘイブン対策税制の適用による合算所得には含まれないと考えられます。しかしながら、英国持株会社の配当所得以外の所得は、合算課税の対象となる可能性があります。ここで、合算課税の対象となるか否かは、タックスヘイブン対策税制上の適用除外要件を満たすか否かによります。この適用除外要件を満たすか否かは、英国持株会社が持株事業以外に営む事業の種別、およびそれらの事業が持株会社機能と比較してどの程度の規模であるか等の各種状況を検討することで決定されます。

こうした問題に対する対策案のひとつとして考えられるのは、純粋持株会社(子会社株式を保有すること以外の他の機能は営まず、配当以外の所得を稼得しない会社)を保有することであり、この場合には、統括会社としての機能を含めたその他の業務は、別の会社に運営させることが考えられます。以下は、英国において統括会社機能を営み、その子会社からマネジメント・フィーを受領する英国持株会社への例を示している。

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注: 十分な検討により予期せぬ税務上の影響を回避するために、再編実施の決定を行う前に、専門的なアドバイスを受けることをお勧めします。

上述のストラクチャーにおいて、英国(純粋)持株会社(A)が支払い、英国統括会社(B)において受領される配当は、英国統括会社(B)に関するタックスヘイブン対策税制上の実効税率の計算上考慮されないことから、通常の英国の法人税率28%が適用されることとなり、タックスヘイブン対策税制の適用基準を十分上回ることとなります。

こうしたストラクチャーは、在独子会社に関する潜在的な問題点(上述のドイツのセクションにおけるストラクチャーアイデア(i))に対する解決策となります。ドイツ税制上、いわゆるアンチトリティーショッピングルールにおける要件を満たすために在EU中間持株会社は実体を有しなければなりません。英国持株会社自体が不十分な実体しか備えない純粋持株会社の場合であっても、上位に英国統括会社が存在することになるため、EU親子会社指令に基づき、源泉税の免税措置が上述のストラクチャーにおける英国への配当に適用されます。ただし、これは在英統括会社が統括機能を営んでおり、十分な実体を有していることが前提となります。

各グループの状況によっては、その他の税務上の問題が生じる可能性もあります。弊社としては、多くの場合において、提案されている税制改正の悪影響を取り除く一定の方策があると考えており、現行税制よりも税務上の恩恵をより多く享受することが可能な場合もあり得ます。しかしながら、日本および英国の税制改正案は可決・発行されておらず、したがって、上述の分析およびアイデアに影響を与えるであろういくつかの変更が加えられることも考えられます。

望ましい対応策

これまで解説してきましたプランニングからお分かりのとおり、日系企業グループは今回の税制改正に対して早急に対策を講じ、新制度が発効となる前にどのようなアクションをとるべきか(とることができるか)を検討する必要があるでしょう。

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