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国外に保有する金融資産の申告等について

グローバルモビリティ~国内税務~2019年11月

先月10月2日に国外財産調書の不提出で初めて刑事告発が行われたとの報道がありました。近年、国税当局は国外に保有する資産に対する監視を強化しており、実効性を担保するためには、刑事告発も辞さない姿勢がうかがえます。また、外国の税務当局との間では共通報告基準(CRS)に基づく国外に保有する金融口座の情報交換が2018年9月から開始されており、入手した情報に基づいて国税当局は積極的な調査を実施しています。

国外資産に対する当局の監視が強化されつつある中、国際人事としては国外に金融資産を保有している可能性が高い海外赴任者に対し、申告義務等について下記の注意喚起をする必要があります。

1. 国外財産調書

たとえ所得税の申告義務がなくても、国外財産調書の提出が必要な場合があります。

2. 国外金融資産に関する所得税の申告

(1) 預貯金の利子

国外の金融機関に預けてある預貯金の利子は総合課税対象として申告が必要です。

(2) 公社債の利子

国外で発行される特定公社債以外の一般公社債の利子は総合課税の対象となります。

(3) 株式の配当

外国の証券口座を通じて受取る外国法人株式配当は、外国市場に上場されている法人の株式配当であれば、申告分課税の選択が可能です。

(4) 公社債の償還・譲渡損益及び株式の譲渡損益

外国の証券口座を通じて売却等を行った特定公社債と上場株式の譲渡損失は、一般株式と未上場株式の場合と同様に、その損失はなかったものとなります。

(5) 投資信託の収益の分配及び償還・譲渡損益

投資信託の収益の分配は公社債とその以外のもので所得区分が異なります。

(6) 為替差損益の認識

円建ての外国株式売買と外貨建ての株式売買で為替差損益の認識の方法が異なります。

 

注意点についての詳細な解説は記事本文よりご確認いただけます。

 

※本記事は、掲載日時点で有効な日本国あるいは当該国の税法令等に基づくものです。掲載日以降に法令等が変更される可能性がありますが、これに対応して本記事が更新されるものではない点につきご留意ください。

 

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