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CSA(Control Self Assessment):統制自己評価

効率のよい内部監査手法として

CSA(Control Self Assessment):統制自己評価とは、業務スタッフを監査手続に巻き込む手法。「効率のよい内部監査を行う」ことが可能となる。業務管理者と業務担当者に「ファシリテーション」を通じて特定の問題や業務プロセスについて議論し自己評価してもらう。

CSA(Control Self Assessment)とは

CSAは1987年石油関連の企業Gulf Canadaの内部監査チームが開発したと言われている内部監査の1つの手法である。企業の中で独立した組織である内部監査部門が、客観的視点で組織の内部統制を評価する、いわゆる内部監査は以前から行なわれていた。それに対して、CSAではその業務をよく知る管理者と業務担当者を集めて特定の問題や業務プロセスについて議論し自己評価してもらうのである。後の1995年にIIA(Institute of Internal Auditor:内部監査人協会) によって、「正式に文書化されたプロセスでビジネス機能に直接関与する経営者やワークチームが、稼働しているプロセスの有効性を判断し、そして、いくつかの(または全ての)ビジネス目的達成のチャンスがそれなりに保証されているかどうかを決定する。」というCSAの定義が与えられている。 

CSAの実施方法

CSAのファシリテーションは、議論のテーマと成果物を設定し、参加者の意見交換を成果物という目標に向かってまとめあげていく作業と言える。その、議論を目的の成果物へと集約させるまとめ役を「ファシリテータ」と言い、ファシリテータはファシリテーションを成功させる重要な役割を担ってる。


表1にファシリテーション、インタビュー、ディスカッションのそれぞれの特徴を示す。CSAでは、このファシリテーション以外にも業務担当者に幅広く自己評価の意見を聴取するチェックリスト(アンケート)もよく使用される。 

CSAのメリット

ファシリテーションに参画した業務担当者が、自組織に潜在するあるいは顕在化しつつあるリスクを自分達で認識したとすれば、積極的にそれに対応する内部統制を設計あるいは改善し導入しようとするであろう。もし第三者である監査人からまったく同様の指摘を受けたとしても、自己認識した場合と比較して同様の高い当事者意識が芽生えるかどうかは疑問である。

 また、経営環境の変化が激しい現代において、頻繁な改革を行う組織のすべての業務プロセスを、客観的な立場の監査人が常に追従し続けることは非常に難しくなってきている。それに反して、CSR(Corporate Social Responsibility)という概念の出現に見られるように、企業には以前にも増してより高い倫理性・透明性が求められるようになっており、内部監査部門にはより幅広い分野での監査が要求されている。

監査人よりもよく実務を知る業務スタッフを監査手続に巻き込むこのCSAという手法は、「範囲を拡大したうえでプロセスを深く追求していく効率のよい内部監査を行いたい」という時代の要請に応じて誕生してきたものと考えられる。

このCSAにはさまざまなメリットもありますが、表裏一体のデメリットもある。それらを表2に整理している。

監査人が主体となって、従来型の手法とCSAとをバランスよく組み合わせればより効果的な内部監査を行うことが可能になると考えられる。

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