カナダ国税当局、移転価格で初めてのペナルティ賦課
文書請求には厳格な実効性
カナダ国税当局(Canada Revenue Agency;CRA)はこの度、カナダにおける移転価格関連の法令に基づき移転価格税制に関する初のペナルティ賦課を行いました。カナダにおけるこうした厳格な法執行環境は、この処分とあいまって、次のようなことを明確に示しています。
- 移転価格問題に関して税務調査活動が高い水準で行われていること
- コンプライアンスを確保・執行するために、CRAは利用可能なあらゆる「ツール」を用いる意向であること
- CRAは移転価格に関するペナルティ賦課に積極的であること
- 税務調査を受ける範囲を制御するために必要な第一歩として、文書化が重要であること
移転価格に関するペナルティが課されることは以前から予想されていたものの、この事例におけるペナルティ適用は非常な驚きであるとともに警戒を喚起するものであり、規模に関わりなくすべての多国籍企業に向けて次のような重要なメッセージを送っています。
- 企業規模は問題ではない:この事例の納税者は、多国籍企業の基準からすると非常に小規模なものであったことから、CRAはすべての納税者が文書化規則を遵守するよう法を執行し、ゼロ・トレランスの強硬な姿勢で臨むことが予想されます。
- CRAは引き続き、税務調査の初期段階で移転価格文書を請求する:当該納税者は、CRAが税務調査に着手する際に「247条4項による4通知」(所得税法247条4項に従って行われる移転価格文書の請求)を受け取りました。今後は、247条4項による通知を受け取った後に初めて文書を用意するのでは、ペナルティを避けるには遅すぎます。
- 取引発生時における文書化が肝要:タイムリーに作成された文書がないということは、納税者は合理的な努力を怠ったことを意味し、ペナルティの可能性が生じます。今回の事例の納税者にはタイムリーに作成された文書がありませんでした。対象の取引と適用された移転価格方針を説明した資料を用いてCRAからの文書請求に期限通りに対応しようと努めたものの、ペナルティに係るみなし規定の適用対象となってしまったようです。今回の事例における移転価格の調整額は、総収入の10%という上限を超えていました(下記参照)。
2004年5月のIFAカナダ支部会合の席上、マラ・プローリンズCRA国際税務運用課課長は、今回の移転価格に関するペナルティ賦課は、CRAの移転価格審査委員会(Transfer Pricing Review Committee;TPRC)が正式に審査・勧告したものであると明らかにしています。プローリンズ課長は細かい状況についての言及は避けましたが、その他の案件もTPRCに提出されていること、および、再定義規定に関する事例がまもなく検討されるであろうと述べています。
文書化とペナルティ
所得税法247条4項により、納税者は調査対象の課税年度の税務申告を行うまでに一定の最低レベルの移転価格文書を作成または取得すること、および、CRAから正式に請求があった後3ヶ月以内にその文書を提出することが義務付けられています。納税者がいずれかの締切期限に遅れた場合は、独立企業間価格を決定・使用する合理的な努力を怠ったとみなされ、ペナルティ賦課の可能性が発生します。税務調査の結果の調整額が、ペナルティの規定における一定の上限を超えた場合は、ペナルティが課されます。
残念ながらこの規定は逆には適用されません。すなわち、247条4項を遵守しても、納税者が独立企業間価格を決定・使用する合理的な努力を行ったとは必ずしも判断されないのです。独立企業間価格に関する合理的努力を行ったかどうかは、当該納税者に関する事実と状況に基づいて判断されます。ロブ・オコーナー/ゲリー・ゼッド
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